十七歳の地図

十七歳の地図

1983年12月1日発売。
このアルバムを一言でいうと「二面性」ですね。

まあWikiを読むと尾崎豊そのものが強烈な二面性を抱えた人だというのが分かりますが・・・。

「15の夜」ではティーンらしい若さや未熟さが表現されているが、一方では妙に老成して達観している。盗んだバイクで走って夜に逃げ込んでも「自由になれた気がした」と言っており「自由になれた」とは言っていない。

「はじまりさえ歌えない」では愛こそすべてと歌い、「I LOVE YOU」では「悲しい歌」(現実のことか?)を聞いたり目にすると愛がしらけると、愛の弱さやはかなさを歌ってみせる。

「傷つけた人々へ」では自分の非を認め、恋人に感謝する。

「ハイスクールRock'n'Roll」では喉が張り裂けんばかりに歌ったと思えば、「OH MY LITTLE GIRL」ではひたすら優しく歌い上げる。

人生紆余曲折経験した中年ならいざ知らず、16や17歳にも関わらずどこでこんな多面的な視点や歌唱を身につけて来たんだろうと思う。

ファーストアルバムにも関わらず、アーティストとしての「尾崎豊」の主張がもう既に表現されている。極論すれば、このアルバムだけ聴いていれば尾崎のことがすべてわかると言っても過言ではない。

それだからこそ、このアルバムを越えることが出来ず、尾崎が終生苦しんだのも理解できる珠玉の作品。