WBC総括

 それにしても打者はいくら強力なメンバー(特にパワーヒッター)を揃えても、あまり勝ちに結びつかないことが明白になった(グリフィーは打ったけど他が打たなかったアメリカや、ドミニカ共和国のデイビッド・オルティスレッドソックスの主砲)はことごとくブレーキになる始末)。

 そういう意味では、大リーガーであるヤンキース松井やホワイトソックス井口を召集しても戦力になったとは言い切れまい。ディフェンスに関しては松井より代替選手の福留の方がはるかに上だし(ヒットを打つ能力は互角だと思う)、足を使えるという点では井口より西岡や川崎の方が上かもしれない。オフェンス&ディフェンス両面で、召集して確実に戦力が上がると思うのは城島だけ。

 やっぱり甲子園に代表されるトーナメント勝ち上がり方式の必勝パターンで、相手がピッチャーに慣れてきたと思ったら、変則モーションの投手を次々に繰り出し、打者が慣れないうちに逃げ切るという、今回の韓国式パターンが戦術的には一番素晴らしかった。

 そういう点では、所属する選手の力量が最終的にものをいうペナントレース慣れした監督より、ある程度の駒を揃えてそれを的確に繰り出していく高校野球の監督のような資質が指導者に求められると思う(取手二高を率いてKKコンビを有するPL学園と互角に戦った木内監督を招聘した常総学院があっという間に強豪になったように)。

 しかし、シーズン前にこれだけモチベーションを上げてしまったイチローは大丈夫だろうか。彼が所属するのは、弱小に成り下がったのに、試合前にトランプで盛り上がったり、イチローの「提言」を監督批判と曲解して捉えるシアトル・マリナーズ

 ああ、大魔神佐々木、長谷川滋利ブレット・ブーンエドガー・マルチネス、ジョン・オルルッド、ガルシア・・・。シーズン116勝したあの驚異的な強さは一体どこへ?