「椿三十郎」
痛快娯楽時代劇でありながら、三十郎(三船敏郎)が刀を振るって得られる強さは必ずしも彼を幸せにはしないという部分も描かれていて興味深い。
ある種、座頭市に近い屈折アウトローといった感じを受けた。
「てめえらのおかげでとんだ殺生をしたぜ」や、井坂(加山雄三)の「お見事!」に「馬鹿ッ!」と血相を変えて怒鳴りつける姿にそれが表されていた。
そういう意味では、悪事をたくらむ悪役3人(清水将夫、志村喬、藤原釜足)をあえて泳がせておき、証拠をつかんで穏便にことを済ませようとした家老(伊藤雄之助)が一番賢いのかもしれない。
それしても、今作は室戸半兵衛(仲代達矢)が三十郎にやらっれぱなし。
93/100