「プルーフ・オブ・マイ・ライフ

 主人公であるキャサリングウィネス・パルトロウ)の造形に厚みがない。

 彼女が、父である教授(アンソニー・ホプキンス)に匹敵するレベルの逸材であり、画期的な数学の証明を生み出せる可能性があるという事象を強調して演出してくれないと、いくら彼女が「これは私が書いたの!」と泣いて絶叫しても、どうも説得力に欠ける。

 例えば、小さい頃に父が示した数式の回答を一瞬のうちに弾き出したとか、高校なり大学で逸材だったことは周りも知っているが、体を壊して数年世間と没交渉になっていたとか。

 こういう「天才が周囲に理解されない映画」って、スクリーンの中では主人公が孤立無援でも、観客は100%主人公を信頼できる状況にしておくのが常道だと思うが。

 それがないから、お姉さん(ホープデイビス)とハル(ジェイク・ギレンホール)の言うことにも一理あるのでは?と感じてしまう。

 ギャーギャー喚きたてるグウィネスの顔は、ビンタをお見舞いしてやりたくなるほど憎らしかった。

 笑った時のグウィネスの顔は、思わず抱きしめたくなるほど可愛らしかった。

 53/100