2006年1月号
掲載シナリオ
ALWAYS 三丁目の夕日
やっぱり出来のいい映画は脚本だけ読んでいても楽しい。
六ちゃん(堀北真希)と鈴木オート(堤真一)の喧嘩シーンは何度読んでも飽きない。
製作途中で脚本家である野上龍雄と製作陣とのトラブルが発生し、映画のクレジットでは佐藤純彌脚本となっているが、内容はほぼ野上龍雄版であるとのこと。
何を訴えたいのかさっぱりわからない脚本。
大和に乗船している人達が背負っているもの(国を守るぞって思っていた人もいるだろうし、とにかく生きて帰りたいと思っていた人もいるだろう)の書き込みが薄すぎて唖然とする。大和の乗組員は心を持ってないのか。
背負っているものがあるからこそ、最後の特攻でまさに木っ端のように吹き飛ばされる乗組員達の悲劇、戦争の理不尽さや非人道性が際立つのに。
大和の乗組員の日常生活が知りたいなら、別立てでドキュメンタリーでも作ったらいいわ。
こんなひどい脚本を、社運をかけた作品に採用する東映はやっぱり救いようのない映画会社だ。