(12月号)

 「血と骨

 全身暴力と性欲の塊の如き金俊平(ビートたけし)。

 彼が放つ禍々しい力に翻弄され、収斂される朝鮮長屋に暮らす一家の姿。

 俊平をはじめとする強烈な一団の描き方がすごく生き生きとしていて、文章で読んでるだけでも圧倒される。

 ラストまで俊平を得体の知れない化け物として、徹底して描いたところにも好感が持てる。

 「雨鱒の川

 川で自由に生きる雨鱒のつがいを、幼馴染である主人公2人(玉木宏綾瀬はるか)に重ね合わせた淡いラブファンタジー

 こき下ろす部分もないが、べたほめする部分も特にないオーソドックスな物語。

 北海道各地でロケハンした、美しい映像が見もの。